投資信託の分配金や譲渡益は、他の所得とは切り離して税額を計算する「申告分離課税」に該当します。
そのため、普段は確定申告とは無縁のサラリーマンであっても、投資信託の利益があれば確定申告が必要です。
ただし、例外として以下の条件を満たしていれば、投資信託で利益を得ていても確定申告が不要になります。
投資信託で得た利益が年間で20万円以下の場合
給与以外の所得が20万円以下の場合、申告不要制度が適用されるため、原則として確定申告を行う必要はありません。
ただし、給与の年間収入金額が2,000万円を超える場合や、医療費控除などを受ける場合は、投資信託の利益とは関係なく確定申告を行う必要があります。
投資信託の運用損失が出た場合
投資信託の運用がうまくいかず、損失が出てしまった場合、課税対象となる利益はゼロですので、確定申告を行う必要はありません。
また、投資信託の損失は、他の投資で得た利益と相殺する「損益通算」を行うことができます。
投資信託以外の株式取引などで利益が出ている場合、損益通算を行えば税金を節約できますので、確定申告をした方がお得です。
源泉徴収ありの特定口座を利用している場合
特定口座とは、投資信託などを扱っている金融商品取引業者で開設できる口座のことです。
投資信託を始めるには銀行や証券会社などで口座を開設する必要がありますが、その際、一般口座と特定口座のどちらを開設するか選択することができます。
特定口座の場合、さらに「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」のいずれかを選択しますが、「源泉徴収あり」を選んだ場合、投資信託で得た利益に対して課せられた税金が自動的に源泉徴収されます。
そもそも確定申告とは、その年に発生した利益に対して納める税金を確定するために行うものですので、源泉徴収で納税すれば、確定申告そのものが不要になります。
なお、源泉徴収ありの特定口座なら、投資信託で損失が出た場合でも自動的に損益通算されます。
投資信託の購入額が少なく、年間の利益が20万円に届かないことがわかっている場合は一般口座でもかまいませんが、長期的に資産運用する場合は特定口座の開設がおすすめです。
一般口座から特定口座への移行も可能ですが、後の手間を考えれば最初から特定口座を開設しておいた方がよいでしょう。
ちなみに「源泉徴収なし」の特定口座を選んだ場合、証券会社や銀行から年間の売買損益を計算した「特定口座年間取引報告書」が交付されます。
投資家は特定口座年間取引報告書に基づき、自身で確定申告を済ませることになります。